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ABOUT

Post O’Alls (Post Overalls)は、1992年にニューヨークのマンハッタンで創業、その後1993年1月にMAGICというTrade Showでオフィシャル・デビューしました。デザイナーは大淵毅、シーズンは1993F/W、ブランドコンセプトは戦前のアメリカン・ワークウエアをその時に着たいムードで提案する、というものでした。

その頃は戦前のアメリカン・ワークウエアはほぼ誰にも知られていない存在で、それどころかビンテージ・ウエアもごく限られた感度の高い人たちやデザイナーたちだけの楽しみでした。Post O’Allsは、当時すでに消え去っていた手の込んだ縫製仕様やディテール、クラシックな型紙の作り方を研究、再現したり、使用する糸やミシンの種類を研究したり・・・文字通り、ゼロから始めていきました。

戦前と言っても1990年代からは50年以上前のことなので、当然のことながら業界の全てが変わっていました。例えば、今ではよく見かけるシャツのサイドシームのガセットなどはとうの昔に絶滅していましたし、クラシックなプルオーバー型のシャツも然り(前開きのシャツ以前のシャツはプルオーバーでした)・・・もちろん、それらの台襟に付くチンストラップなどもほとんど見かけることはありませんでした。戦後、時代が進むにつれてあらゆる業界が生産性を追求するようになり、非効率なことは省略されていきました。

そんな中、デッドストックの古着を分解して研究したり、業界のオールドタイマーの方々に昔のやり方などを聞いたりして、全ての事柄を再設定していきました。その上で、古着にはないアイデアを盛り込んだり、着込んで洗い込まれた後に出る存在感溢れるパッカリングやシワの出方をデザインしたり・・・そんな、ビンテージには存在しなかった刺激的なオリジナリティを加えていきました。

デザイナーの大淵毅は、ファッション・エディターだった両親の影響もあって小学生の早い時期にファッションに目覚めました。ヒッピー〜アイビー〜ヨーロピアン〜ロック〜アウトドア〜ミリタリー〜サーファーなど一通りのファッションを体験していき、10代の中頃(1970年代の後半)からビンテージのアメリカ衣料に目覚め、最初は古いビッグEなどのリーバイスの色落ちの美しいデニムからビンテージの世界に入っていきました。その後20代の初め頃(1980年代前半)、原宿のとある古着屋で戦前のデニムのカバーオールジャケットとの衝撃的な出会いがありました。見たことのない美しいトーンのインディゴ・ブルー・・・初めて見る美しいディテール・・・なんとも言えない魅力的な着心地・・・現代の服では失われたシルエット・・・などなど、全く知らない世界が広がっていました。

それまでもリーバイスやリー、ラングラーなどの色落ちの良いビンテージ・ジーンズやジャケットを探して着ていましたが、それらともまた違う・・・なにしろ初めての体験で、そこから古いワークウエアに一気にハマっていきました。そして様々なビンテージ・ワークウエアを日常的に着る事によって、戦前のワークウエアは、当時の現行の服やそれまで着ていた1940~60年代のビンテージ服とは、着心地や着た気分も含めて全くの別物である、ということを発見していきました。

古い写真集を探したり、戦前のカタログを集めたりして年代などを検証していくうちに、1910~1930年代の服やデザイン、生地の素晴らしさにどんどんハマっていきました。すでにアールデコは好きなデザイン様式の一つでしたが、さらに発展してStreamlineやMachine Ageなど、アメリカン・デザインの基礎を作った、その時代を代表するインダストリアルな様式美にも惹かれていきました・・・そして気がつけば、カバーオールがデザイナーのプライオリティになっていきました。その頃には彼はツイードジャケットやスーツなども着るようになっていたので、それまでよく着ていたGジャンやフライトジャケットなどの着丈の短い服よりも、腰丈のカバーオールの方がしっくりくるようになっていたし、何しろ着方を自分でクリエイト出来るのが楽しかった。

デザイナーの大淵は、古いワーカーの写真を見ても彼らと同じような着方をしたいとは思わなかったし、ワークウエア自体それまでファション的に流行ったことがないので、刷り込まれた着こなしのイメージも無ければお手本もない・・・つまり、過去に誰にも定義されていなかった・・・だから、自分で好きな着方が出来ると思えた。また、以前から好きだったミリタリーやアウトドア・ウエアも、すべてワークウエアのプラットフォームから発展していったことを知ると、さらにビンテージ・ワークウエアの沼にハマっていきました。

そして、1987年にはアメリカの服の本場であるニューヨークへ移住しました。古着を探し、売り、フリーマーケットに行き、働き、ファッションの学校に行き・・・忙しい日々を送りながら、ビンテージのコレクションや知識はどんどん増えていきました。そしてFashion Institute of Technology(ニューヨークのファッション工科大学)のProduction Management科でアメリカ式の生産及び経営を学び、卒業してすぐ30歳の時にニューヨークでブランドを設立しました。

それから30年以上経った今、気が付けば古今東西のフレーバーと現代のムードが交錯する、Post O’Allsの世界観を作り上げました。デザイナーの大淵は今もビンテージ・ウエアを買い、着続けています。彼にとってビンテージの魅力とは、デザインやディテールもさることながら、それぞれが独創的で魅力的なシルエットや着心地を持っているということ・・・そして、それらを生み出すのは型紙だということ。そんなマジックを再現する為、彼は今日も気分に合うフィットを探し続けています。